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2005年05月03日

「トンデモ」の正体 〜 1. 石油

 子どもの頃からの疑問がある。それは「石油って本当に動植物の死骸から出来てるの?」ということだ。そこで今回は、その「石油」について少し調べてみた。

 石油産業は、1859年ペンシルバニア州タイタスビルで、近代的な油井が掘削されて誕生した。そもそも北米大陸に石油が存在することは古くから知られていた。最初の記録は1627年にある。
 この19世紀中葉を起点とする近代石油産業の誕生以降、21世紀初頭の今日に至る百数十年において、石油が各国の経済活動、国民消費生活を支える主要なエネルギー源の地位を獲得し、石油産業がエネルギー供給産業として各国経済における重要産業の一つに定位したのは、世界全体でいえば1960年代のことであった。第2次大戦後のいわゆる「エネルギー革命」を経て石油は石炭と並び、やがてこれを凌いで最大のエネルギー源としての地位を獲得したのである。1970年代初頭ないし前半頃までの資本主義世界経済の戦後高度成長が、相対的に安価なエネルギー源である石油の供給によって支えられたことは、しばしば指摘されてきたとおりである。
 現代文明には欠かすことが出来ない物質である石油。しかし一般には、石油は数十年後に無くなると言われている。そもそも石油は、メタンやエタンなどの炭化水素を主成分として出来た1000種以上の化合物の混合体で、動物や植物の死骸を原料に造られるとされる。有機物を含む堆積岩が長い年月をかけ、地熱の作用やバクテリアにより分解され、石油や天然ガスに変化するのだ。この有機成因説が1830年頃から通説となっていて、確かに石油の成分を調べると、生物からしか生まれない葉緑素(ポルフィリンという葉緑素起源の特殊な化合物が含まれていることなど)や血液に類似する物質が多く含まれている。この石油の成因については、19世紀から諸説があり、有機(生物)成因説と無機(無生物)成因説が対立してきました。当初は火山成因説、炭酸ガスとアルカリ金属接触説、カーバイトと水の反応説などの無機説が有力だったが、現在の世界的傾向では有機説で統一されている。有機成因説の中にもいろいろな提案があったが、石油は海成層に分布する場合が多いことから、現在は海成の生物に由来するという考え方が有力になっている。特に研究が進んでいるのはケロジェン(油母)起源説。ケロジェンというのは地球上に最も多量に存在する有機物で、熱作用によってケロジェンから石油系炭化水素が生成されることが実験によって証明されている。この説に基づけば、その埋蔵量には限りがあるとされる。ジャパン石油開発の野本眞介氏によると、石油専門誌などの発表では石油の寿命はあと約40年。新油田の発見や採掘技術の進歩で可採年数は伸びているので、40年という数字はあくまで現在の消費量から算定した数字に過ぎず、中国など石油をあまり使用していない国々の消費が飛躍的に増大すれば、枯渇までの期限は短くなる。
 しかしその一方「無機成因説」では、炭酸ガスを含む水とアルカリ金属が高温高圧で作用して炭化水素になったと説明されていて、その中でも「地球深層ガス説」では、地球生成期の大気中の炭化水素物質が地球内部のマントルと地殻の中に閉じ込められて、高温高圧で液体状の炭化水素化合物となりプレートの隙間から染み出ていると説明されている。アメリカコーネル大学天文学部のトーマス・ゴールド教授は、「実は石油は生物の死骸からではなく、地球の深部に大量に蓄えられている地球深層ガスが変化して地表まで染み出している物質である」と語っている。この説から推測される物質の想定量を考えると、石油埋蔵量は現在の消費量ならばあと500年分はあると考えられる。約46億年前の地球誕生の時、メタンなどの多量な炭化水素物質が地球内部の奥深くに閉じ込められ、それが石油の供給源になっている。木星や土星など太陽系惑星の大気中にはメタンが多く含まれており、隕石は多量の炭化水素物質を含んでいる。高温・高圧(深さ100〜300キロメートル・温度1100〜2400度・3〜10万気圧)の場所では、一部の炭化水素は化学反応を起こし石油となり、岩盤の亀裂を通って地表近くで油田となる。
 1986年、スウェーデン国家電力委員会は掘削チームを結成し、ダーナラ地方のシルヤン隕石孔の掘削を開始した。そこは3億6000万年前に巨大な隕石が衝突した場所で、地殻の深部まで裂け目が入っている可能性があり、炭化水素も湧き出しやすい。更にマグマが冷えてできた岩盤なため、生物の堆積物はほとんどない事がわかっているのだ。掘削から1年で地下6000mの地点で石油が発見され、通常の油田がある3000〜5000mよりも深部に石油があることを裏付けた。この油田発見は、有機成因ではなく地球深層ガスによって石油が作られているという事実を証明している。しかしこれは調査サンプルが少ないため仮説の域を出ない。よって石油が通説のとおり数十年で枯渇するか否かは、今のところ明言できない。それは石油生成メカニズムの更なる解明にかかっているのである。

 かつて学生時代には、動植物の化石が原料と習ったはず。そして今でもほとんどそう説明されいている。しかし実際には諸説が入り乱れており、正確なことはわからない。可能性が高そうなのは、地球誕生の時点で大量に蓄積されたガスが、圧縮されて液化したものという説のようだ。
 これを「トンデモ」な話と見るかどうかは、真実が証明されるまで、まだしばらく保留しなければならない。

投稿者 coboratory : 2005年05月03日 01:02